不思議な感覚の短編集
海 … 婚約者の弟との、ある夜の交流。なぜこうなる⁉︎という展開への驚きと、海の波の音が聞こえてきそうなアンバランスな作品。
風薫るウィーンの旅六日間 … 老婦人との噛み合わない旅。最後まで報われない、このおばあさんも、巻き込まれた男も。
バタフライ和文タイプ事務所 … タイプ文字を擬人化した独特の官能。思わず読み返してしまうほど、現と虚の境がわからない作品。
銀色のかぎ針、缶入りドロップ … 何気ない日常のあたたかさを切り取った2編。
ひよこトラック … 定年間際の独り身男と、声が出ない少女の交流。抜け殻が生と少女の美しさを表すなら、トラックで運ばれるひよこは生の残酷さと男自身の生きづらさを表しているような気がしました。男が少女からもらった最上のプレゼントとは、、。
ガイド … 母がツアーガイドの少年と”題名屋”という謎の職業を名乗る老人との1日。名言が多い作品でした。”思い出が無い人はいない”。少年が初めてのお給料で買ったものは母への愛、誇らしさが詰まっていました。
作者 小川洋子さん
「博士の愛した数式」は本屋大賞、読売文学賞を受賞され、映画化されました。
「海」もそうですが、年が離れた組み合わせや、現実と虚の境、独自の官能表現が多い作者さんだな〜と思います。
そういう捉え方、表現をされるのか!
読んでいる途中で、独自の視点に驚きます^_^
先の投稿にも載せたけど、こちらも天アンカット☆
指でつい触っちゃう、紙本来の風合いが楽しめる製本手法です(๑˃̵ᴗ˂̵)
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